胸腺腫について一考察
胸腺腫と赤芽球癆、重症筋無力症のトライアングルはセットで考える癖をつけておきたい。今回はそのイメージがつきやすいように考察をまとめた。
胸腺腫とは胸腺の上皮細胞が腫瘍化する疾患だが、イメージはイカレた学校が設立されたような感じ。
もともと胸腺はT細胞の教育の場であり、成長とともに脂肪に置き換わっていく。そんなさなかどーんとキチガイ養成学校設立…。困ったもんだなぁ。
キチガイ養成学校から巣立ったイカレたT細胞は、リンパ節で待機しているB細胞に「お前の出番だ」と声をかける(TーB間相互作用)。スタンバってたB細胞が抗AchーR抗体用なら重症筋無力症、また対前赤芽球?用なら赤芽球癆になる。本来なら、成熟の過程でこいつらに声をかけてしまうT細胞は間引かれているはずなのだが、不良なT細胞たちは「そんなの知らねーし」とどこ吹く風。
物盗られ妄想の感覚
Alzheimer型認知症の傾向として物盗られ妄想というのが有名だ。自分でどこにしまったかを忘れたからと言って、なんでまた人のせいにするのか…。初めて聞いたときはまた突拍子もない妄想だと不思議に感じたのものだが、意外と身近な経験で共感できる。
例えば、ある日ある時自分の家に帰って駐輪場に目をやると、自分の自転車が忽然と消えている。すぐに「盗られた!」と思うだろう。これはなぜか。
自転車が消えているという現象に対して、
①自転車が消滅した。
②自転車を自分で移動させた。
③自転車が盗まれた。
という考えを浮かべたとする。①は常識的にあり得ないと考え即却下…。②そんなことをした記憶はない、違う。③じゃあ盗られたとしか考えられない。とまぁこんな一連の思考の流れが一瞬のうちに出来上がるのだろう。
さて、この「②そんなことをした記憶はない」というのがポイントだ。実際に盗られたのであれば問題ないが(医学的に)、仮にひと月ほど前に自転車を自分で移動させたことをきれいさっぱり忘れていたらどうだろうか。おそらく上記の流れをたどって見事に他人のせいにしてくれることだろう。
Alzheimer型認知症では、「いつ、どこで、何をしたか」というエピソード記憶がそっくり欠落するのだから、本人は嘘をついているつもりもなく物盗られ妄想に至ってしまうというのも解せるのではないだろうか。
神経がゴミ屋敷に…
神経変性疾患というのは、ゴミ捨ての異常とイメージするのが理解しやすい。神経細胞を人間の部屋に例えると、歳を重ねていくうちに神経細胞がハウスキーピングに疲れてゴミ屋敷になってしまうといった具合だろうか。
Parkinson病ならLewy小体というゴミが、Alzheimer型認知症ならアミロイドβ蛋白、タウ蛋白というゴミがたまっていく。また、ゴミがたまる場所によっても疾患が変わる。同じLewy小体というゴミでも、大脳皮質にたまればLewy小体型認知症、中脳黒質にたまればLewy小体型認知症ということになる。
生ゴミのゴミ屋敷なのか、粗大ゴミのゴミ屋敷なのか、そしてどこのお宅がゴミ屋敷なのかというイメージを。
疾患/ゴミ(場所)
・Parkinson病/Lewy小体(中脳黒質)
・Huntinton病/ポリグルタミン(線条体)
モチベーションアップ
日々のふと思いついたこと、閃いたことを振り返ると思わぬ発見があると思う。
少し知識や経験が増えてから、もしくは忘れて馬鹿になってから…。そんな時自分を助けてくれるのは意外と過去の自分だったりする。
未来の自分がモチベーションを保つために一役買えると嬉しい今の自分。